平生アドベンチャー。

先日やって来た台風の被害復旧が進まず「鞍馬の火祭」が中止となるそうです。

そこへ再び台風がやって来るとな!しかも前回と同じくらいの勢力だとな!


はぁ〜・・・明日は定休日なのですが一日外に出られないっぽいですねぇ。

まぁ良いや、子供と一緒に「フィニアスとファーブ」でも見てノンビリ過ごす事にしましょう。


台風が来るなら屋内に篭るのが正解、と知りながらも。

「どれくらい風吹いてるかな〜?」とか「川は濁流になっとるかな〜?」と、

愚かな興味に背を押されつい外に出掛けてしまうという人も一定数居る事でしょう。


そんな台風の時に橋から激流を眺める事を好む人達の事を英語でこう呼びます。

「ブリッヂクラブ=橋仲間」と。

などというのは当然嘘で、道が荒れて祭が中止になる様な状況でも突貫出来るオフロード系万能ツーリングバイクの御名前。

Surly Bridge-club(完成車のみ)  ¥158,000(税別) 

四半世紀前のMTBが転生して来たが如き佇まいは、クラシックとは違った意味で「懐かしさ」を感じさせるそれ。

MTBが山遊び専用車両ではなく万能車両であった時代にはツーリングも街乗りも何もかも「コレ一台」でしたよね。


そんな江川達也「ゴールデンボーイ」の世界を現代に蘇らせてくれるブリッヂクラブ。

オーバーサイズアヘッド/73mmネジ切りBBシェル/Φ27.2mmシートポストと超安全牌規格で纏められており、

この先5年・10年・15年と乗り続けたとしても恐らく部品供給に困る事は無いんじゃないかと思います。


そこに加えられた現代的エッセンスは27.5インチホイル、それも2.8幅のセミファットに対応しているという点。

持っても転がしても漕いでも軽く、汎ゆる地形をなだらかにしてしまうセミファットは四半世紀前からすれば夢の規格でしょう。

しかしセミファットだけなら良いとしても、そこに「フロントダブル」や「フロントトリプル」が組み合わさると、

インナーに入れた際にタイヤとチェーンの接触問題が出て来ますので対策を講じる必要があります。

具体的にはチェーンラインを3mm外に出すという事になり、それ即ち「Boost規格」として知られるアレになる、と。


ただブースト規格は基本的にスルーアクスルとセットで提案された規格。

スルーアクスルでフレームを作ると製作行程と精度の関係上、製造コストが嵩む傾向にありますので、

「より安くブーストと同じチェーンラインを」と編み出されたのが、昔ながらのクイック止めを用いた141mmのハブ規格。



個人的に141mmQRブースト規格(勝手に命名)自体には好意を持っていたりするのですが、

完成車を安く作る纏める為に生まれたという関係上、対応ハブ単品売りの選択肢が非常〜に少ないのが大欠点。


QRブーストを採用するメーカー完成車の多くは「取り敢えず安く乗ってみて!きっと気にいるから!」から始まり、

「気に入った?面白いやろ?じゃぁもっと良いの欲しくなるよね!」という筋道をつける訳で、

そこに長期にわたる使用という前提や補修という概念は割と・・・薄い様に見受けられるのですよ。


そんな中にあってサーリーが出した回答は「138mm Gnot-boost」という規格。

「141mmのQRブースト、良いよね便利だよね〜。でも135mmのハブも使えた方が良いから中間の138mmにしとくわ!」

つまり141mmハブを使う際にはエンドを3mm広げ、135mmハブを使う際にはエンドを3mm狭める、

という事で、シクロクロス車でよくある132.5mmエンドと同じ考え方で御座いますな。


たかが3mmされど3mm、ディスクブレーキの車両にとっては悪影響を懸念すべき3mm。

しかし凶悪な7mm極厚エンドにより、3mmの捻りなどではビクともしない造りになっています。



林道でのMTB遊びからフルパニアの過酷なツーリングまで完全にカバーするタフな一台、良いですね〜。

惜しむらくはフレーム売りの展開がなく、完成車のみの展開となっている点。

構成部品に100点満点はつけられないモノの、¥158,000という価格を考えれば素晴らしいバランスです。

パワースプラインBBもSram/X5も使ってみれば別段不満もありませんし、使い潰したなら交換すれば良いだけの話。

その時に「普通の部品が使える」というメリットを活かして、押入れで眠らせている部品を再利用出来るとか、

ホイルサイズを変えて味付けを変えてみるという事も楽しめる、と捉えましょう。

そう、ブリッヂクラブにはWTBのRanger27.5x2.4がセットされていますが、

クリアランスの取り方からも分かる通り「26x3.0」の26+規格を履かす事も可能!




と「!」をつけてみた所でナンですが、此処で臨時ニュースです。

弊店が以前から独自に在庫・販売している「Alex/Supra35/26インチ版」ですが、

今回の入荷分を以て手配&在庫を終了させて頂く事になりました。

値段がね、上がっちゃう事になったんですよ。

使い勝手の良い外幅35mmにチューブレス対応でハトメ付きでそこそこ軽くて高精度・高品質、

コレが¥6,600!という所に絶対的な魅力があった訳ですが、価格改定が入り次に手配すると¥8,000になってまうのです。

¥8,000でも全く魅力は失われないと思うのですが、「大量に在庫を確保してまで」って域からは出ちゃうんですよね。


取り敢えず在庫全数を秘宝館に追加しましたので、ナロー系26+化を目論む方は是非¥6,600で御用命下さい。




え〜、話が逸れましたが・・・個人的にブリッヂクラブは現Surlyラインナップ中最高評価です!

台風で荒れた道も問答無用で突き進めるアドベンチャーな毎日のお供の決定版ですよ。

空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。