石器。

「この自転車って何段変速ですか?」→「11段です」→「うわ〜、そんなに沢山!」

という定型キャッチボールがそろそろ使えなくなりつつある12速時代初頭。


UGだウルトラだといった規格が過去のモノであるのは当然ですが、今や10速でさえもロートル扱いでとても寂しゅう御座います。

此方の初代Sram/RED。10年くらい前のモノですがご覧の通りまだまだ小奇麗で「ワシャまだやれる!」とファイティングポーズ。

しかし寄る年波には勝てないというか何というかで、劣化したプーリーに小ジワならぬクラックが発生。

交換交換、新品に交換スわ。

え〜、どれどれ、Redの純正プーリーは・・・あれ?グーグル先生に聞いてみても答えが出てきませんぞ?


調べ方が悪いという事は勿論ですが、そもそもこの当時と今とではSram国内代理店が変わっておりますので、

製品情報の供給やバックアップ体制が万全であるわけもない、という話です。



ならばと読めない英語の海を平泳ぎで進んで行くとRed用プーリーが2個で約¥1万チョイ?

普通のベアリングのフォース用でも¥4,000弱する様で、まぁまぁええ値しますね。

現在の国内代理店さんにお願いすれば手配はしれくれるのかもしれませんが、待つのも邪魔臭いし・・・。


適当な社外品汎用プーリーとか使えんのかね?と、調べてみるも芳しい情報が出て来ません。

その理由は独特な規格にありました。

このディレーラ、テンションプーリーこそ一般的なM5ボルト固定ですがガイドプーリーは一周り細いM4なんですよね。


その為、テンションプーリーは何なと転用効くのにガイドプーリーは転用が難しい、と。

じゃぁ内径が約4mmで外径約5mmのスリーブがあれば、汎用プーリーが使えるかもしれないって事か?

これがドリフであれば観客席から「そういう事じゃない!」というヤジが飛んでくるはずですが、

幸か不幸か弊店はドリフでも無く、ただただ暇を持て余した自転車屋ですので材料をガサガサ探して、

出て来たのが此方のアウターキャップ。内径・外径ともに言う事無しにして長さも充分。



此奴を切って削って、汎用プーリー「BBB/RollerBoy ¥1,800」と組み合わせて更に削って削って完成。

汚ねぇ仕上がりだな。でも大丈夫!使えるから!

というか完成度を求めるならこんな事せんと、黙って純正品を手配すべしですよ。


でも「取り敢えず組み上げてから、純正の事は考える」みたいな時間的余裕を求めて突破してみた今回。

自転車「屋」というからにはもっと高度な対応をして、ビシっと決めたいなぁと思ったりもする反面、

こういう原始人が岩で叩き割るが如き作業の方が「自分と自転車との関係」の現実である事が嬉し恥ずかし。


さぁ!旧いSramのプーリーでお困りの方はレッツ原人!いや、待てる人は純正買えば良いんですけど。


空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。