借り物競争。

雪舞う今週の京都は当然の如く底冷えの極みにある訳ですが、ストーブで背を炙っている間は寒さを忘れます。

ただ頭の中には一点のシミの様に「嗚呼、この雪が先週降ってくれたら良かったのに・・・」という思いが消えませんで。

と申しますのも長男の保育園卒園前の最後の行事「雪遊び遠足」が来週に控えておるのです。

行き先は山を越えた先の広河原、サイクリストにとっては佐々里峠の麓の集落と言った方が手っ取り早いかと。

例年12月半ばからは春まで全面通行止めとなる豪雪地帯・佐々里、その佐々里でさえも今年はスッカスカだそうで、

「どの程度スッカスカなのだろう?」と、知った所でどうもならん問題が気になり調査に出た先日。



駆るマッシーンは自転車でもなければ自家用車でさえない、修理に預けている自家用車の代車である借り物・クロスビー

乗り物は基本的に何でも好き、且つ車は小さいモノが好きなワタクシにとって、

自分のモノではないコンパクトカーを好き放題乗り回せるというのはラッキーラッキーラブらっきぃ。

はじめて現物を見た瞬間「軽か?」と本気で疑ったほどのこじんまりした外観ながら、

乗れば広大・・・とまでは言えねども往年のK11マーチなどとは比較対象にもならないユッタリさですし、

過給器付きの1,000ccエンジンもまた「・・・1,000cc?」と疑うほどにトルクフルで、こりゃよろしい。

田舎道をタラっと流していると6速ATも相まって中々に気持ち良いのですが、乗り心地はホワンホワン。

シートもまたホワンホワンな上にホールド性の欠片も無いクロックスサンダルみたいなノリなので、

「素晴らしい車だ!」と絶賛する所までは行かんのですが、初代エスクードなどと比べると超絶に快適。



そう、文句を言い出すとキリがない。

しかし一昔前のコンパクトと比べるとほぼ全面的に良いですし、逆に今のコンパクトが失ったモノをクロスビーは持っており、

例えば直立したフロントグラスが生む視界の良さは、乗用車と言うよりトラック的。

チョップドルーフかと見紛うほどに横長のフロントグラスですが、旧車並の絶壁なのでAピラーによる死角は無いに等しく、

狭い峠道を走る際にも「対抗来てるか?」とAピラーの向こうを覗き込むという鬱陶しい事をせんで良いのです。



また窓が完全に開き切るというのも個人的に嬉しい点。

前後共に窓を開けると完全に開き切る、昔は当たり前だった事ですが最近はチョコっと残るヤツが多く苦々しく思っとったので。



全長4m切りの車なのに後部座席の足元に余裕があり、チャイルドシートに乗せた子供が全席の背もたれを蹴るという事も無く、

何なら足元に色々荷物を置く余裕さえあるというのは非常に有り難い。



積載性も中々のモノで、自転車完成車の梱包箱「通称・完パケ」230サイズ箱でも御覧の通り2箱をしっかり積載可能。

FITと比べるとラゲッジスペースの絶対容量で劣れども、開口部の高さと室内高さがほぼ同じクロスビーは荷物を積み易く、

高さ75cmの230寸完パケも何の工夫も必要無くそのままズボンと突っ込めてしまう。

小さいけれど家族4人で楽に移動出来るし大荷物を運ぶ事も出来る、それもそうそう不満の出ないレベルで。

現代の車は恐ろしいモンですねぇ・・・。


ISGアイドリングストップと3気筒エンジンは相性イマイチっぽいのでマイルドハイブリッドシステムごと撤去して、

リアガラス一式をプライバシーガラスから無色ガラスに変えてして、廉価版「Gグレード」でも出れば、

昭和コンパクトカーへの未練が捨て切れない簡素な車愛好家(オッサン)の稀有な受け皿となり得るのではないかな、と。

因みに広河原には雪の欠片もありませんでしたが、昨日・一昨日の雪が今は積もっている事でしょう。

雪遊び遠足の中止決定後の降雪であった事が悔やまれます。

空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。