ソロ。

子供の頃の友人に不幸があり、お別れの挨拶に行って参りました。

20歳くらいまではよく遊んだ中ですが、此処20年ほどは年賀状のやり取り位で殆ど会っていませんで、

ワタクシの記憶の中の彼は、自分もそうであったように不安定でええ加減だった若者のままです。


しかしお通夜の会場に行くとUSJかディズニーシーかという程の人・人・人でお焼香さえもままならぬ状態。

まだ交流があった頃に始めた仕事を彼は一本邁進し、独立を経て立派な事業主となっていたのです。

会場に溢れかえる人の多さが、彼が人から頼られるだけの仕事をこなして来た事実を表しており、

何と言うか・・・20年という時間の永さは人が「人物」になり得るだけのモノだと痛感致しました。



片やワタクシ、従業員の人生を背負う事も無く独りで自転車を商う小者のままです。

それでも仕事として続けている内にお客様から過分な信用を頂く機会もあったりしまして、

「貴殿なりに良い感じに纏めてたむれ」といった御注文を頂く事も。


で、今回そんな御依頼を下さったのは酸いも甘いも噛み分けた紳士の方。

実用性や整備性は勿論、走行感の良さ、跨り漕ぎ行く際のシルエット等などのバランスを取り、

ご用意させて頂いたのはこんな感じのSurly/Crosscheck

スポルティフ的な方向に仕上げさせて頂いていますが、敢えてクラシック調部品は一切選ばず、

「クラシックのクラ抜き=シック」でスマートなリラックポジションの一台に。

特別な部品は使っていませんし、予算的にもメーカー完成車の2割増し程度に留めていますが、

使用感も耐久性も、そして勿論満足度も2割増しどころではないレベルに持って行けていると自画自賛。


こういった「お任せ仕事」というのはギター弾きに「ソロを弾いてみな」と言うのと似ておりまして、

使う音数が同じ(≒使う部品が同じ)だとしても、聴きたいと思って頂けるソロを弾ければ◎、弾けねば☓なのです。



今回亡くなったワタクシの友人も、多くの人から「ソロ」を任せて頂ける所まで精進した訳ですが、

彼が今まで以上の良い仕事を残す事はもう出来なくなってしまいました。

ホンの偶然で順番が違ってしまっただけ、ただそれだけですのでワタクシも遅かれ早かれ追っかける事になります。

その最期の時に後悔するなんてなぁ御免ですから、やれる限りはグッと来るソロを弾いて行きたいです。







空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日も。