お楽しみBOX。

「師走」という言葉はそろそろ「配走」に置き換えても良いのかもしれない。

そんな事を考えてしまうほどに運送業者さんが走り回る12月末。


弊店に届く荷物もボチボチ年内カウントダウンに入っており、あと2回くらい届くかな?という程度ですが、

年の瀬に運ばれて来た大きな箱を開けると・・・ビッグなのが入ってました。


此方はある秘密計画の一環として秋口くらいに製作依頼していたモノ。

和風というよりも神社や破魔矢を彷彿とさせるこのエンドからも分かる通りフルスクラッチで御座います。

そのエンドの表面にはステンレスを貼り付けているのですが、その割にピカピカしていません。

というのも此方は普通のステン板ではなく、装飾としてダマスカス鋼を使っておるのです。

グリグリとうねりまくる紋様ではなく、パッと見で分かるか分からぬか程度のホンノリとした流れが奥ゆかしい。


フレームは過剰装飾に陥らない様に極力シンプルな構成としつつも、エッジはビシっと立てる。

フレームの添え物扱いされ勝ちなフォークも薄い複葉肩で、シンプルなのに見れば見るほど面白い。



そしてそのフォークの肩上にもやはりダマスカス。

バウムクーヘンでさえこんなに薄く切り出すのは難しいと思うのですが、

ブロック材から歪ませる事無くこの薄さを切り出すというのは至難の業と申せましょう。



こんな非現実的なデザインを纏め上げ、そして形にしてしまえる人間はそう多く居ないと思いますが、

弊店にあるという事は勿論「Sunrisecycles」の手によるモノ。

私は手先が器用では無いので、どうすればこんなモノが作れるのか謎でしかありません。

数十年後、私もSunrise高井氏も灰になった後にこのフレームを見る人はどう感じるでしょう?

きっと脳天突き抜ける様な強烈なインパクトを与えられるのではないか、と勝手に思ったりします。


どちらが優れている、という話ではないとしてもネオプリやマスターX程度の予算があれば、

こんな冗談みたいな世界に足を踏み入れられるってのは結構面白い時代だと思うんですけどね。



生地の状態でもかなりキテますが、これが完成形になったらどうなるかと思うと・・・来年が楽しみですな。



自分の自転車を用意するのはそりゃぁ楽しいモンですが、人様の喜ぶ顔を想像して練り上げるのもまた楽しいモンです。

今日はクリスマスイブ。

息子がソワソワワクワクして待っていますので、用意していたプレゼントをソッと奴らの枕元に投下してやろうと思います。

明日の朝を一番楽しみにしているのは、息子よりも父親の方なのかもしれません。






空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。