ほどほどモナカ。

御客様からお持ち込み頂いたチョイ古XTクランク「770」。

9速から10速への進化を跨いだモデルだったはずなので、ざっと10年前といった所でしょうか?

造形的には全く古さを感じさせないモノだと思いますが、唯一確実に時代を感じさせるのは「クランクアームの色」

この77もその前の魚みたいな形の76も青春の友75も、皆々銀色のアームが普通でしたが、

2019年の今、シマノのカタログをペラペラめくるも・・・銀色アームって絶滅危惧種なんですよね。


ちょっと前までは存在したLXはグレード自体消滅しましたし、XTのトレッキング用ラインナップも今は黒のみだしで。

ロードに関しては105のシルバーが復活したというグッドニュースがあるとはいえ、

使い方の振り幅が出し難いあの形状では、諸手を挙げてバンバンザイ!って感じでも無いし。



そんな時代の流れの中にあって、「シルバーで」「よりシンプルに」といった希望を抱える人々の光明となり得るか?

ワンバイエスのジェイ・クランク、遂に下界に降臨です。

One by ESU J-Crank(アームのみ) ¥20,000(税別)

形状はご覧の通り、これ以上無い程のシンプルさ加減。

懐かしのCODA-Magicみたい!てのは言い過ぎかもしれませんが、側面に「CODA」とマジックで書けば二度見必至。


このシンプルさはロゴが無い事やアーム形状が限り無く直線に近い事によるモノだけではなく、

通常はクランクにあるべきスパイダーが無いという事の影響が大きい様に思います。

歯の取り付けは今時なダイレクトマウントとなっており、ワンバイエスブランドだけでなく様々なリングが使用可能。

希望とあらばダブルリングも選べますが、このシンプルさを評価するならやはりフロントシングルが適当かと。



アームは合わせモナカによる中空構造となっているのでそこそこ軽い反面、アーム自体はそれほどスリムではありません。

ふと思いついて倉庫から引っ張り出して来た、やはり懐かしのRNCクランクと並べてみると似た様な感じですね。

しかし「このシンプルさ」で「安くて強いアウトボードBBが使える24mmスピンドル」、

更に「格好良い歯から安い歯まで色々使えるダイレクトマウント」のクランクが¥2万(税別)で選べるというのは、

結構、いやかなり、というか相当、いやいや無茶苦茶有り難いのではないでしょうか!




注意すべき点としてQファクター狭めのクランクである事とモナカ構造の相乗効果で、

アームエンドの内側クリアランスが110.5mmと狭い為、MTBフレームでは使用不可能ですし、

クロス系フレームでもチェーンステー形状によってはかなりギリギリな事になりそう、という点。


そしてもう一つに本製品は160mmから2.5mm刻みでアームレングスの選択が可能なのですが、

最長で170mmという設定の為、実質的に170mmばかり選ばれる事になるのは火を見るより明らか。

なので「欲しい時にモノが無い」という事態に陥る不安は拭えません。現時点で既に「在庫少量」となってましたし。

アーム単品売りの初回入荷が恐らく今回なのだと思うのですが、第二回はあるのでしょうか?

5年後くらいに振り返ると、「コレが¥2万で買えたのか〜」と懐かしく惜しむ可能性無きにしも非ず。


WhiteIndustries素敵〜、Siクランクも良いよね〜、と思うけどチョッと手が届かないと悩む貴方様、

今なら程々に良い感じのジェイクランクという選択がある事を是非見逃し無く!

空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。