ロングバトン。

五山の送り火を愛でる会も恙無く終わり、いつもと変わらぬ平和な土曜日に鳴る一本の電話。


ジリリリリン、ジリン、ジリリリリン、ガチャ!

「はい、こちら子育て自転車特捜部。・・・何!子供が大きくなってきた?本当か!

 どういう事だ、自分で自転車が漕げる様になったという事か!

 違う?そろそろ子供を自転車の後ろに乗せたいがどうしたモンだろう、だと?」


どどどどどうしましょう!

だって彼は何処に行くにも自転車、趣味というよりも確実に生活道具として自転車を使い込んでおり、

普段の生活には過剰なレベルの巨大パニアが常時装着されているのです。

そのパニアでさえ容量が足らず荷物を詰め過ぎてボロッボロ。

加えて子供乗せを押し込むなんて正気の沙汰ではありません。



こういう事態になっては致し方なし、道を切り拓くは一子相伝の秘儀を授けるのみ!という事で。

私が今年まで愛用していたXtracycleのFreeRadicalKitを授けましょうぞ、チョリャサーっ!


ボワワワン。

ん〜・・・我ながらなんてボロいバッグでしょう。でも車体も負けず劣らずのヤレっぷりで不思議と一体化。

それにこれなら今まで以上に荷物を詰め放題ですし、子供ちゃんも乗り放題で問題完全解決ですよ。


引っ越しに伴い置き場所が無くなり卒業を余儀なくされた我が家のロングテールキットですが、

こうして本当に必要とする人に貰って頂き、再び役に立つのはとても良い事ですし美しい事だと思います。

新しくロングテールオーナーとなる彼の子育てが一段落した暁には、また次の子供の元へ行って欲しいモンです。

空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。