ノーチス。

実りの秋、玄関先の南天にも沢山の実がなっております。が、よく見ると・・・実ではないのが混じってますね。

どうもカマキリの卵っぽい。

このまま冬を越して春にウジャウジャと子カマキリが湧いて出て来るのが、楽しみな様であり不安な様でもあり。



そんなモンはジッと観察してるからいかんのです、ジッと見るなら虫より自転車という事で。

この度、顧客様から御用命頂きましたSalsa/Marrakeshが形になりましたので改めて見て参りましょう。


まずマラケシュとは何ぞや?という所から始めますと、ズバリ「サルサのツーリングバイク」です。

現代におけるツーリングバイクの王道と言えばSurlyのロングホールトラッカー&ディスクトラッカーな訳ですが、

同じQBPグループのブランドであるサルサが、敢えてそこに叩きつけた「もう一つの答」がマラケシュ。


その両車の違いを一番如実に表しているのは恐らく此処。

ZS44規格の極太ヘッドチューブ。ではなくしてそこに繋がるトップチューブ&ダウンチューブに御注目。

前端がラッパの様に広がったパイプになっておりますが、コレはヘッドチューブとの接触面積を稼ぐ=ヘッド剛性向上を求めての事。

一般的にテーパーコラムフォークと組み合わせる為に使う事が殆どのZS44ヘッドチューブも、

マラケシュに関しては首周りの剛性を上げる為にのみ用いられている、というのが面白いですね。



そんな目立つヘッドチューブ周りに対しオーナー以外は気付かない、というかオーナーさえ気付いていない事もあるポイントが此処。

ってこの画像だけで「なるほど」と頷いたアナタは特殊な才能があるので今すぐ超能力研究機関へ。

「ポイント」というのはシートチューブ径がΦ31.8mmである事。

この手のクロモリフレームは上が外径Φ30.0mmで、下に行くと外径Φ28.6mmと細くなるパイプを使うのがド定番である所、

マラケシュは上がΦ30.0であるのは同じですが、下に行くほど太くなる変則的なパイプを使っておるのです。

コレはヘッド周りと同じく剛性向上狙いと言えるのですが、同時にチェーンステーの長いツーリングバイクでは失われがちな、

「強く踏み込んだ時の反応の良さ」を狙っての事だったりもします。


此処の所が、昔ながらのスタンダード乗り味に加え縦方向のみ意図的に剛性を落として快適性を狙った、

サーリーのロングホールトラッカー&ディスクトラッカーと大きく異る個性と申せましょう。




またハードコアツーリングライダーの目には不安要素と写る可能性もある、可変式リアエンド「オルタネーター」も、

今の所エンド部材にクラックが入ったという体験談を聞いた事はありませんので、案外ネガティブ要素は低く、

それに対してドライブ系のトラブルに見舞われた際に、シングルスピード化して逃げ切れるという選択を与えてくれたりします。



またスタンド取付用プレートが装備されているので、スタンドを安全・確実に取付可能。

「スタンドなんか要らねぇよ!俺は24時間走り続けるんだ!」という人には不要でありましょうが、

フルパニアの自転車って一旦降りると置き方に結構悩まされるんですよね。サイドスタンドなんかでは瞬殺でこけますし。

その点、ダブルスタンドが確実に装着できるスタンドプレートが用意されているのは純然たるメリット。


この様にですね、カタログやメーカーHPだけを見ていても気付かない造りや狙いというのは存在し、

実車を前にして乗ったり見比べたりすると透けて来るという事もあったりなかったりします。


因みにマラケシュには星座模様が各部に散りばめられていたりするのですが、コレもカタログ写真には写りませんし、

ましてやロゴの脇に天の川が流れているという点なぞ、フレーム色が黒だから初めて気付く様なレベル。

過去に数台のマラケシュを御用意させて来ましたが、この天の川は今回初めて気が付きました・・・。



鉄板ツーリングバイクと言えばLHT!これはこれで間違い無いので・す・が。

もう一歩踏み込んだマラケシュも是非お見知りおき頂ければ幸い至極ウンヌンカンヌン。

空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。