サミット。

消滅まで残り1週間という状況にも拘らず顧客様よりフォーク修理依頼を頂いていたりする昨今、即ち平常営業。


クラック対策の修繕作業と塗装作業を終える頃には弊店など跡形も無く消し飛んでいるはずですが、

だからと言って「間に合いません・出来ません」てなナンセンスな事が申せましょうか?

黙ってやりゃぁ良いんですよ、んで出来たら配達すれば良いだけの事。

業者側の事情などお客様には関係無い。無いこと無いかもしれないけど悪影響は己が手元で最大限留めんとならんです。



思い返せば半年ほど前、弊店においては別格と言っても差し支えないハイスペックバイクの御注文を頂きました。

生産予定時期も分からない中頂いたオーダーでしたが、幸いな事に年末に生産が上がり「やった〜」と喜びながら年を越して、

新年早々に届いた報せは「メーカー倉庫が火事、フレーム全焼」という聞いたこともないトンデモ事件。


再び納期未定となってしまった事をうけお客様と共に打ち拉がれる日々は然程長くも続かず、

第二期生産分の内の一台を確保出来たという吉報が3月早々に届くも、今度はコロナが背後から迫ってきておりました。


「4月3日カリフォルニア出荷」

この予定を見ながら手に汗握る3月末。

何故なら3月末の時点ではカリフォルニア全州外出禁止命令こそ出ていませんでしたが、

4月に入ると外出禁止令が出される可能性は非常に高く、そうなると出荷もして貰えなくなるのです。


ギリギリセーフで出荷されるか?それともアウトか?というかどう考えてもアウトだろ?

かと言ってこのまま諦める事など許されようか?否。てな風に煩悶しつつ迎えた4月頭。

我登頂に成功せり、登頂に成功せり。


停止し始めた物流のゲートをすり抜けられたのは「高い・早い・絶対届く」のFedExを使ったから。

ソンテウで移動する所をハイヤーで高速道路に乗ったみたいなモン、払うモノ払えばアッと言う間に届く、と。

そんなスペシャルなサービスですから送料もまぁ中々にインパクトのある数字になりますが、

倉庫が燃えたとか出荷されないとか閉店に間に合うとかなんて事情はお客さんには関係無く、

受けた御依頼をこなさん事には信用もへったくれもアリ・ハッサンです。



こんなトラブルは勘弁して欲しいと思う反面、我々自転車屋や自転車輸入元さんの存在意義とは、

こういった困難を解決して必要とされるモノを必要とされる方にお届けする事であり、

それ故に利益を頂戴出来るんだよな、と再認識出来る良い機会だったと思います。


因みに届いて即組み上げたのはこんなの。Salsaのオールロードマシーン「Warroad」

99%鉄フレームだった弊店の最後にフルカーボンってのがステキでっしゃろ?


空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。