ブルーベリーアイ。

本日取り出しましたるは此方、Formosa/RoadDiskHub

廉価良品なシマノ製品と比べると高価だけれど、個性溢れるハイエンド製品群と比べると安い、

そんな前¥9,800・後¥16,000という価格にして、特別どうという事の無い前160g・後260gという重量の地味系ハブ。

そんな製品を何故お招きする事になったのか?それは顧客様から頂いた「今年はブルベやりたい」という御相談に端を発します。

ブルーベリーアイ?わかさ生活じゃなくて?てなボケは時間の無駄なので放置するとして、

如何なる環境下でも無理矢理走りきってしまわねばならぬ過酷な使用状況に適しており、

且つオーナーから告げられた「あ、分かってると思うけどこまめなOHとかしない前提ね」という条件をクリアするとなると、

色々考えた結果、コヤツがベストな選択なのではないか?と考え招聘した次第。



まずハブ内部に浸水してベアリングがグズグズになってもリカバリー可能なシールカートリッジベアリングは必須条件。

その点、フォルモサハブは適合しているというだけでなく更にもう一層シールが組み込まれたダブルシール仕様。

ついでに言えば内側のセンタースリーブにもシールが備わっており浸水対策としてはかなりの安心レベル。

また組み込まれているベアリングはABEC5グレード(≒JIS5級)という事で、常識範囲内のハイグレード品。

弊店が補修用として日常的に使っているチープなJIS0級(≒ABEC1)と比べるとベアリング単価約3倍。

即ち3倍速く走れるという事、というのは当然嘘ですが地味ながら闘志を秘めたハブなのです。



またメンテナンス性の高さもお掃除係の弊店にとってはポイント高し。

フロントハブはキャップ式なので工具要らずでベアリングにアクセス出来ますし、

リアも一般的な17mmのハブスパナでキャップを外して、アクスルに12mmアーレンキーを挿せばOK。

「12mmアーレンキーなんて持ってねぇよ!」という方も多かりましょうが、悩むよりロングナットで代用するが易し。



で、フリー側のキャップを外せばフリーボディがポロンと外れる訳ですが、4つ爪フリーのこの爪のデカさ。

いや、デカけりゃ良いってモンでも無いでしょうがやっぱタフネスを期待してしまいますよね。

基本的には極普通のシールカートリッジ式ハブですが、構成の一点一点が微妙に良いのと、

何よりMTB業界の荒武者Yurisさんのオリジナルブランドという事で、補修部品などのフォローアップが期待できるというのはデカい。

補修部品を欲しても「補修部品ですか?無いです。」の一言で終わる製品も多い中、

何なと頑張ってくれるYurisさんのオリジナル品というのはそれだけで選ぶ価値有り。



そして組み合わせるリムはMavic/OpenPro-UST-Disk

リム界における絶対的ブランド・オープンプロの名に加え、マビック独自のUSTチューブレス規格を盛り込んだディスクリム。

手押しポンプでビードを上げる事が出来てコンプレッサー要らず、そんな売りを持つ新UST規格。

UST対応タイヤでないとモノ凄く嵌め辛いというデメリットは大いなる障害でありますが、

チューブレスの恩恵をうけつつ(慣れれば)簡単に管理できるというメリットが今回は光るはず。



スポークは余っているCX-Rayを使おうかとも考えましたが、CX-rayって外的衝撃にあまり強くないというか、

飛び石とかペダル当ててとかで傷が入ると割とスパンと割れてしまう印象があるので、

当たり障り無いDTのバテッドスポーク・コンペティンションで組んで出来上がり。

測りましたる所、重量実測1,680g(ペア)でお値段約¥6万。

数字で見るとどうって事無いですが、「荒く乗っても永く使える可能性」という地味な能力を評価するなら「あり」ではないかと。


思ったり思わなんだりしながら明日は定休日です。

空井戸サイクル

「自転車に恋をして」 日々横を通り過ぎるママチャリでなく、恐る恐る触れる超高級車でもなく、跨り漕ぐ度にときめく自分の愛車。それを見つける旅の水先案内人が自転車屋です。そしてその恋がズッと続くお手伝いを今日も明日も明後日もしていたかったのですが令和二年をもって廃業し現在地下潜伏中。